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その猫は2週間前の夕方、忽然と現れた。

人を見ても逃げないことから、捨て猫とすぐにわかった。

数年前にも捨て猫があって、しばらく前から姿を見かけなくなったその猫に、その捨て猫は酷似していた。

不憫に思ってエサをやっていた人がエサと水を置いていた場所に首根っこをつかんで連れて行く。

だけど、その猫は食べようとしなかった。

水さえも飲もうとはしなかった。

いかに捨て猫とて、しばらくすれば飢えと乾きに耐えかねてエサと水に手をつけるはず。

私は楽観していた。

1週間経っても、その猫はエサも水も手をつけようとしなかった。

母が言うには、捨てられたショックでエサも水も摂らないんだという。

どんどん衰弱していく猫。

見る間にやせ衰え、背骨が、肋骨が浮き出るようになった。

ウチにはもうずいぶんになる猫がいるので、飼うことはできなかった。

猫は泣き続けた。

自分を捨てた飼い主を求めて。

私や母、他の人が置くエサには目もくれなかった。

ただ泣き続けた。

3日前。

さすがに見ていられなくなった家族が言い出し、動物病院に連れて行くことにした。

点滴を受けると、少しは元気が戻った。

けれど、エサや水に手をつけることはなかった。

翌日も連れて行こうとした。

猫を見ると、あちこちに失禁の痕がある。

かなり厳しい状態のようだった。

それでも、点滴を受けると少しは元気になり、大声を上げて泣き続けた。

連れて帰ると、物陰に隠れた。

よろけて、何度も転びながら。

猫は、衰弱した姿を人に見せないという。

人目につかない、外敵の来ない場所に隠れて体調の回復を待とうとするらしい。

猫は死に目を人に見せないというのは、そんなところから来ているという。

その猫が何度も転びながら物陰に隠れるのを見て、もうダメかもしれないと思った。

昨夜も同じように連れて行った。

猫のいた場所には、もはや失禁の痕さえなかった。

泣き声もずいぶん弱くなっていた。

動物病院の獣医は、点滴した水分がすぐに尿となって排出されたのを見て、少し見込みができたかもしれないといった。

誤まって気管に入ったりすることを恐れてやっていなかった、注射器などで水分を摂取させることをやってもかまわないかと聞くと、問題ないと言われた。

すでに生後一年は過ぎているという。

獣医の勧めにより、帰途、猫用のミルクを買い、帰ってしばらくしてから、それをスポイトにとって与えた。

猫は、缶詰のエサの上に突っ伏していた。

少しは食べようとしたのかもしれない。

スポイトでミルクを与えると、最初はこぼしていた猫も、何度もやっているうちに飲み込んでくれた。

舌なめずりしていた。

よほど喉が渇いていたのだろう。

水はすぐ近くに置いていたのに。

負担にならないように少量のミルクをやり、さらに少量を皿に移して置いた。

猫は、すでに動く元気もないようだった。

体を横たえたまま動かなかった。

焦って体をゆすってやると、何度目かに弱く泣いた。

それ以上、どうしようもなかった。

明日またミルクをあげるから頑張れといい、その場を離れた。

今朝は寒かった。

寒さで夜明けすぐに起きた私は、猫の様子を見に行く勇気はなかった。

同じように起き出した母に猫の様子を聞かれたが、答えようがなかった。

しばらく後、母とともに猫の様子を見に行った。

一見してダメだとわかった。

猫はすでに冷たく、固くなっていた。

昨夜の夜更け過ぎには死んでいたようだ。

母の言葉が胸に刺さった。

「この猫も死んで楽になったわよ。死んだほうが楽よ。」

たとえ命を拾ったとしても、今度は野良猫としてつらい生を生きなければいけない。

複雑な心境だった。

飼い主に見せてやりたい。

飼い主を求めて泣き続けた猫の姿を。

飼い主に見せてやりたい。

体重を3割以上も減らし、やせ衰えて死んだ猫の姿を。

猫は捨てても何とか生き延びるだろうなんて思ってるのかもしれないが、そんな甘いもんじゃない。

飼い猫は、捨てられたらほとんどは生きられない。

ほとんどの飼い猫は自分でエサを探すことはできない。

のたれ死ぬか保健所に持っていかれるか。

誰かが拾って飼ってくれるなんて、よほどの幸運に恵まれないとありえない。

この猫のように死んでしまうのがほとんどだ。

猫に性格がないなんて思うヤツは、この猫の姿を知るがいい。

飼い主に捨てられたショックでエサも水も摂らなくなった猫の姿を。

悲嘆にくれて、泣き続けながら死んでいった猫の姿を。

生き物の命って、そんなに軽いか。


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